「浅煎り」と「深煎り」、カフェイン量が多いのはどっち?

「キリッとした酸味の浅煎りコーヒー」と、「ガツンと苦い深煎りコーヒー」。味が濃くて色が黒い深煎りの方が、なんとなくカフェインが多くて目が覚めそう。そう思っている方は多いのではないでしょうか?
しかし、そのイメージは少しだけ違います。実はこの問題、答えは「コーヒー豆の測り方による」という、少し意外なものなのです。
結論:測り方でカフェイン量は逆転する
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重さ(g)で測る場合:深煎りの方がカフェイン量は多くなる
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体積(スプーン)で測る場合:浅煎りの方がカフェイン量は多くなる
一体なぜ、こんな不思議なことが起きるのでしょうか。その秘密は、焙煎によるコーヒー豆の変化にあります。
焙煎してもカフェインは減らない
まず知っておきたいのは、カフェインは熱に非常に強く、コーヒー豆を焙煎する程度の温度ではほとんど分解されないということです。つまり、コーヒー豆1粒に含まれるカフェインの量は、浅煎りでも深煎りでもほぼ同じです。
では、なぜ測り方で差が出るのか。それは、焙煎によって豆の「重さ」と「大きさ(体積)」が変化するからです。
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浅煎り:焙煎時間が短いため、豆内部の水分がまだ残っており、一粒が重く、小さい。
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深煎り:焙煎時間が長く、水分が多く蒸発しているため、一粒が軽く、膨張して大きい。
【検証】重さ(g)と体積(スプーン)で比べてみよう
この「重くて小さい浅煎り」と「軽くて大きい深煎り」の豆を、2つの方法で測ってみます。
シナリオ①:「重さ」で測る場合(例:20g)
スケールで同じ20gを測ると、一粒が軽い深煎りの方が、より多くの「豆の数」が必要になります。豆1粒のカフェイン量は同じなので、結果的に豆の数が多い深煎りの方が、カフェインの総量が多くなります。
シナリオ②:「体積」で測る場合(例:計量スプーン1杯)
スプーンですりきり1杯を測ると、一粒が小さく密度の高い浅煎りの方が、より多くの豆が入ります。そのため、豆の数が多い浅煎りの方が、カフェインの総量が多くなります。
美味しさを求めるなら「重さ」で測るのが正解
このように、カフェイン量は測り方によって逆転しますが、その差はごくわずかです。カフェイン量の違いを気にするよりも、それぞれの焙煎度の持つフレーバーの違いを楽しむのがおすすめです。
横浜発の「横濱みなと珈琲」が届ける、すっきりとしたキレが自慢の「みなと藍 -ao-」(浅煎り〜中煎りに相当)や、ふわりと華やかな香りと深いコクが楽しめる「No.222」(中煎り〜深煎りに相当)。こうした豆の個性を毎回安定して引き出すためにも、この場合はスプーンではなくスケールを使い「重さ」で測ります。
カフェイン量の差は気にせず、その日の気分で飲みたい味わいを選び、正確に計量して淹れること。それが、コーヒーを一番美味しく楽しむための秘訣です。